平成22年度 事業計画書
平成22年度 事業計画書
概況
当法人は、昭和53年2月の設立より30年余り健康診断事業及びその他附属事業を通じて、科学的かつ適正な健康管理手法により労働者の疾病予防及び健康増進、しいては労働者の福祉の向上に寄与することを使命として日々事業活動を行い成果をあげてきた。
今日、我が国の経済・産業構造は、経済のグローバル化、情報化の進展に伴い大きく転換、又その影響を受け労働環境も90年代前半と比べ厳しさに一層拍車がかかり、就業構造も激しく変革を遂げるとともに格差が広がり貧困も拡大した。
このような時代背景の加速に伴い、生活に忙しく生活習慣(食生活のアンバランス、嗜好品、睡眠不足、運動不足、ストレスなど)を見直すゆとりがなくなった事、さらには平均寿命の伸び等も重なりその結果生活習慣病を発生させる割合が年々増加傾向となってきた。
このような状況下において健診事業の今後を展望すると、受診者がいかに長く元気で過ごせるか、いわゆる生活習慣の重要性を普及啓発し支援することにより発症そのものを予防するという一次予防体制強化機能と、早期発見、早期治療そして社会復帰とつながる2、3次予防機能を併せもつ総合健診機関が主流になると思料される。
従って、このような新しい流れに即した機能とよりハイレベルな健診機能を併せ持つ健診機関として今後も力を注ぎ、労働者の健康の維持、増進に貢献すべく公益法人としての使命を全うしていく方針である。
尚、平成22年2月1日新宿区歌舞伎町に健診施設として新宿診療所を開設する事が出来、長年懸案であった京浜地区における施設健診(診療部門を含む)の充実化に向けた体制の構築が可能となった。
上記の如く新宿診療所の開設に伴い、長年施設健診兼診療施設として使用してきた市ヶ谷柳沢クリニックは同業務を同施設に移し1月31日廃止した。
以下平成22年度の各部門の事業計画について示す。
1.健康診断事業計画
当事業の現況は、かつてないほどの景況感の悪化によるリストラ策の推進で労働者の削減が急ピッチで進んでいる事、官公庁を主体に入札方式にシフトする動きが加速するとともに、検査項目の絞り込みも激しくなっている事、長期的なスパンで見ると少子、高齢化への波が激しく労働人口の減少に歯止めがかからないとの予測もあり、事業環境は一段と激しさを増すものと思料される。
上記のごとく事業環境は厳しいが、当法人にとっては京浜地区における施設健診の充実化が今後の事業運営上必要不可欠であり長年その実現に努力してきたが、平成22年2月に新宿歌舞伎町にこれを開設する事が出来、当法人の中核となす総合健診機関として京浜・埼玉南部地区に勤務する労働者、地域住民の疾病予防さらには健康増進に向けた体制の強化が具現化出来た。
以下平成22年度の健診事業の重点施策を示す。
(1) 平成20年4月から40歳以上の被保険者、被扶養者に対して、メタボリックシンドロームに着目した特定健診、特定保健指導が医療保険者に義務付けられ今年で3年目を迎え受診者にも大分浸透してきた。
しかし未だに理解していない事業所もあり、加盟している健康保険組合に積極的にPR活動を行うと共に、予備軍、準予備軍的な被保険者の保健指導を提案し導入を目指す。
(2) 全国展開をしている健康保険組合の特定健診では各地方で実施した健診データの取りまとめ要望が多く、地方の医療機関との提携ならびにネットワークを構築し、データの標準化及び一元化により活用できるデータの提供に努めるとともに、特定健診だけでなく全国に点在している事業所の定期健康診断や生活習慣病健診にも、地方の医療機関をネットワーク健診として活用していきたい。
尚、今までは本部に専門スタッフを置いて同事業を展開してきたが、今年度からは効率化、連携強化の為東京支部に統合させる案を検討中である。
(3) 全衛連が開始するメンタルヘルスサービスを取り入れ、新たな健診スタイル(健診とメンタルヘルスチェックの同時実施)として各事業所へ提案し、他医療機関との差別化を図る。また、労働衛生に関する専門機関として特に職業性疾病についての助言や相談を行い、他健診機関にはない環境管理を含めた健康管理を行う。
(4) 一昨年後半からの景気後退により各企業で大幅な人員削減が始まった為、受診者数を事前に把握し受診者数に合った適正な健診形態と、効率的な健診計画を立案実施する。全国健康保険協会(協会けんぽ)加入事業所へ新宿診療所利用を推進すると共に、助成事業活用の情報を提供し法定項目から生活習慣病健診項目への移行を勧める。
(5) プライバシーマークの取得について
- 今日、高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大、当法人においても健診事業という特性より数多くの個人情報処理を扱っており、個人情報保護法の理念に基づき厳格な情報管理と運用を義務付けている。
- 今後さらなる強化策として、個人情報保護に関する各種規程整備、並びに役職員全てに対する同種についての教育の徹底等コンプライアンスプログラムの確立を行い、受診者に信頼、信用、安心、安全を約束すると共に、社会的評価のさらなる高みを目指しJIS規格の性質をもつプライバシーマークの取得に向けプロジェクトチームを立ち上げる。
(6) 具体策
① 平成22年度 健康診断計画事業所数(合算) ※新宿診療所分除く
(単位:事業所)
| 北関東支部 | 山形 | 東京支部 (+本部開発) |
合計 | |
| 合計 | 6,100 | 1,763 | 2,135 | 9,998 |
|---|---|---|---|---|
| H21年度見込 | 5,938 | 1,654 | 2,013 | 9,605 |
| 増減 | 162 | 109 | 122 | 393 |
(単位:事業所数)
| 21年度見込 | 22年度計画 | 増減 | |
| 合計 | 9,605 | 9,998 | 393 |
平成22年度 健康診断計画延べ人員 (合算) ※新宿診療所分除く
(単位:人)
| 一般健診 | 特殊健診 | 生活習慣病 | 人間ドック | 住民・学校 | その他 | 合計 | |
| 合計 | 104,018 | 25,518 | 119,059 | 2,300 | 41,634 | 66,996 | 359,525 |
② 新宿診療所について
(財)東京社会保険協会より事業承継し、平成22年2月より当法人の京浜・埼玉南部地域に対する来院健診施設として運営を開始した新宿診療所は、公的健診機関の時代から疾病予防の草分けとして同事業に多大な実績を有しており、事業承継にあたっては殆どの役職員が当法人に転籍している事から、以前よりのノウハウ、経験を生かし健診精度をさらに高めるとともに、協会けんぽ、各健康保険組合に属する労働者並びに地域住民に対し健康管理の様々なニーズに対応出来る体制を充実させ、地域における健診機関の中核となるべく力を注ぐ方針である。
※ 平成22年度 健康診断計画事業所数 …… 17,900事業所
③ 効率的な巡回健診の策定と事故防止
- 健診受診者数に合った医療機器台数・医療従事者数の適正配置、移動距離・移動時間の少ない巡回計画の作成。
- 少人数事業所への全国健康保険協会管掌健康保険助成事業の活用についてのアドバイス。
- 事業所カルテ・健診実施後のアンケート調査結果により、以前の実施状況の把握に努め作業効率の向上と、健診事故・トラブル・ヒヤリ・ハットの防止に努める。健診事故、ミスが発生した場合センター全体で情報を共有、今後の防止推進策に役立てる。
④ 健診データシステムの統一化
プロジェクトチームをつくり、東京支部、北関東支部、傘下の山形健康管理センターの健康診断データシステムの統一化を目指し、各部署との連携及び調整をここ数年かけて行ってきたが、この度新宿診療所が加わった為、さらには同診療所の膨大なデータ量等もあり現在方法論等について検討中。今後2~3年を目途に具現化方針。
この計画が完結出来れば、各事業所への一元化されたデータ提供を行う事が可能となり事業所の労働衛生管理の効率化に役立つ。
⑤ THP活動の推進
THP活動の啓蒙運動の為既存取引先事業所に体力測定・健康講話の開催。健康づくりの啓蒙運動として、栃木県足利地区THP推進協議会主催の健康ウォーキング大会にて健康ウォーキング指導を行う。群馬THP推進協議会サービス機関として、群馬県内企業従業員を対象にウォーキング大会の開催。THPデモンストレーション事業による、企業従業員に対して健康講話及び運動指導の実施。
⑥ 全国労働衛生団体連合会との連携活動
総合精度管理事業への参加
- 臨床検査・労働衛生検査・X線検査
- 技術向上の為の各種研修講習会への参加
健診実務講習会
- 聴力担当実務者
- VDT担当実務者
- 超音波検査担当実務者
日本総合健診医学会への参加
医療スタッフ講習会
- 臨床検査技師
- 診療放射線技師
- 保健師・管理栄養士
- 医師
研修会への参加
- 精度管理研修会
- 情報処理研修会
- TQM研修会
- 優良施設認定研修会
日本総合健診医学会大会の参加
2.作業環境測定事業計画
労働衛生の3管理「作業環境管理」・「作業管理」・「健康管理」を推進する為には、労働衛生管理体制が十分整備され活発に活動しなければならない。
平成21年度においては、基本となる労働衛生体制をも脅かす不況の波が各企業に波及し、その結果合理化・スリム化の波が人員削減化の要求を大きくするとともに、その影響から生産現場も生産中止や生産調整が各所で行われ作業環境測定の実施件数も減少傾向が見られた。
厚生労働省は職業性疾病の件数は年々減少傾向にあるが、じん肺や有機溶剤災害(爆発事故等)は依然歯止めがかからず、さらに職業性疾病の中で発生件数が最も多い腰痛に係わる疾病は依然として減少傾向が少ないと発表している。
従って、今年度は疾病予防の為に科学物質のMSDSを活用したり、リスクアセスメントの推奨、測定対象物質の追加の検討、アスベストに対する管理の継続や測定結果の評価に基づく環境改善を推進し、労働衛生3管理に積極的に注力するよう各企業に対して指導を行っていきたい。
測定機関においても、測定技術の制度の向上や新物質に対する測定法の確立、いわゆる企業から望まれるような測定機関を目指し、的確な情報の把握と対象企業への対応を積極的に推進したい。
以下、平成22年度の作業環境測定事業の重点施策を示す。
(1)MSDS情報の収集とリスクアセスメントの提案
(2)測定結果による環境改善提案の積極的な推奨
(3)統一制度管理事業及び各種講習会・研修会への参加により、測定技術の維持・向上を図る。
平成22年度 作業環境測定実施計画
( )内は前年実績
| 項目 | 粉じん | 特化 | 金属 | 有機 | 騒音 | 事務所 | 局排 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 事業所数 | 65 (60) |
25 (21) |
15 (14) |
105 (100) |
42 (32) |
3 (1) |
20 (14) |
275 (242) |
| 延べ単位 作業場数 |
250 (233) |
120 (116) |
22 (18) |
670 (658) |
300 (253) |
10 (2) |
30 (24) |
1,402 (1,304) |
3.診療事業計画
(1)新宿診療所
平成22年1月社会保険新宿診療所閉鎖に伴い同施設を取得、2月1日より京浜地域における来院健診施設として稼働がスタートした。診療事業についても同施設内に併設され、規模・スタッフとも従来と比して充実した体制を築く出来、地域医療強化の一助となる事が可能となった。
(2) いせさきクリニック
総合健診センター併設により、健康診断の有所見者の二次検査、人間ドック受診者の事後指導等フォロー強化に注力新規受診者増を図るとともに、郊外における予防医学活動機関の拠点として地域住民への健康増進活動にも力を注ぐ。
4.労働衛生教育計画
(1)外部研修
全国労働衛生団体連合会及び日本総合健診医学会等の各種団体が主催する、セミナー及び研修会へ積極的に参加する。
また、超音波医学会、日本超音波検査学会、超音波フォーラム等に参加し、超音波検査の技術、精度向上に努力する。
(2)内部研修
- 情報処理作業実務研修会
- 健診作業実務研修会(一般計測・採血・超音波・肺機能・レントゲン等)
- 胸部・胃部レントゲン撮影実務研修会
- 受診者への接遇研修会
- 管理職研修会・階層別研修会
- 健診ミス、事故防止及び健診情報流出防止対策研修会
以 上


